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泉美木蘭
2016.2.9 17:35

R.スコット監督『オデッセイ』、心に優しい映画だった。

リドリー・スコット監督の『オデッセイ』、心に優しい映画だったなあ。
主役のマット・デイモンが、火星探査中にいろいろあって、たったひとり
火星上に取り残され、死んだのかと思いきや、植物学博士の知識を
フル活用して芋の
発芽などに成功し、なんとかかんとか自給自足ライフを
はじめることになって・・・
というストーリーなんだけど、

あ、まだ観てない人は、この先は読まないほうがいいですね!
 
 
 
  

特徴的なのが、登場人物がとにかく頭の良すぎる人間と、
めちゃんこ物わかりの良い人間だけで構成されていること。
なにかとんでもない問題が起きても、みんな頭良すぎるから、
すぐに知恵が出るし、協力体制も出来上がっていく。
どんな困難もまったく障害にならずにサクサク解決。
これが快感であり、コメディタッチにもなっていて面白くもあり。
ハラハラもドキドキも不安も感じないから、やたら心に優しい。

そして、3Dをあくまで自然に使っているのも、心に優しかった。
私は、3Dの爆発シーンやら、尖ったものの突き出してくるシーンやらが
精神的な圧迫を感じすぎて本当に苦手なんだけど、
『オデッセイ』は、そういう映像技術を見せるための演出がなかったので、
ずっと安心して画面を見ていられた。

とにかく、観客にストレスを感じさせないことを目指したような、
現代人の心に優しい大作だ。
たしかに、みんな日々の生活だけでストレス満載だから、
わざわざ映画館で眼鏡の上にまた眼鏡かけてまでストレス浴びたくないし、
こういう映画は好まれるのかもしれないな・・・。

大問題が勃発したときに、アメリカ人宇宙飛行士を救うのが、中国!
というのも、時流を浮き彫りにしていたと思う。
『ゼロ・グラビティ』もそうだったもんね。
今後もっと中国人が大活躍するハリウッド映画が増えるのでは。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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